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アメリカの車保険、結局どれを選べばいいのか

Liability、UM/UIM、Umbrella、事故の現実まで全部まとめて整理する

アメリカで生活を始めると、かなり早い段階で必要になるのが車保険です。

でも正直、最初は意味が分かりません。

Liability、Collision、Comprehensive、Deductible、UM/UIM、Medical Payments。

しかも、100k / 300k / 100k のような数字が出てきます。

これを見て、

「結局いくらまでカバーされるの?」
「フルカバーって書いてあるから大丈夫じゃないの?」
「安い保険でいいんじゃないの?」

と思う人は多いはずです。

でも、アメリカの車保険は、ここを適当に選ぶと本当に危ないです。

なぜなら、車保険は単なる「自分の車を直す保険」ではないからです。

本当に大事なのは、

事故を起こした時に、相手にいくら払うことになるのか。
そして、その上限を超えたら誰が払うのか。

ここです。

今回は、アメリカの車保険で最低限知っておくべき用語から、Liability の怖さ、UM/UIM、Umbrella Policy、実際の事故例、そして保険会社の選び方までまとめて整理します。

この記事では、私自身の保険履歴も例として使います。

最初の10年くらい、まだ新入社員で、車も1台だけ、資産もほとんどなかった頃は、21st Century のポリシーでした。

当時の内容は、Bodily Injury Liability が 100k / 300k、Property Damage Liability が 50k、Medical Payments が 5k、Uninsured Motorist が 100k / 300k、Comprehensive と Collision の deductible がそれぞれ 1,000ドルという構成でした。

一方、現在は家族がいて、車も複数台あり、Tesla と Honda Civic のように車種も変わってきました。

この段階になると、GEICO、Liberty Mutual、Progressive などの大手保険会社で、単に「安い保険」を探すだけでは足りません。

新卒時代と、家族がいて資産形成も始まった中流家庭フェーズでは、選ぶべき保険の考え方が変わります。

ここが今回の記事の大きなポイントです。


まず、車保険の用語を一覧で整理する

アメリカの車保険は、最初に出てくる単語が分かりにくいです。

なので、まずはざっくり一覧で整理します。

用語簡単に言うと
Liability自分が加害者になった時、相手に払う保険
Bodily Injury相手のケガに対する補償
Property Damage相手の車・建物・物に対する補償
Collision自分の車がぶつかって壊れた時の保険
Comprehensive盗難・雹・火災・動物・落下物などの保険
Deductible保険を使う前に自分で払う自己負担額
Medical Payments自分や同乗者の初期医療費補助
UM相手が無保険だった時の保険
UIM相手の保険が足りなかった時の保険
Rental Reimbursement修理中のレンタカー代
Roadside Assistanceレッカー、鍵閉じ込み、バッテリー上がりなど
Umbrella PolicyLiability の上限を超えた時の追加防御

最初は難しく見えますが、実は大きく分けると3種類です。

1つ目は、自分の車を守る保険。
Collision と Comprehensive がこれです。

2つ目は、相手に払う保険。
Liability がこれです。

3つ目は、相手がちゃんとしていなかった時に自分を守る保険。
UM/UIM がこれです。

そして、その上に乗る最後の防御が Umbrella Policy です。

この分類が分かると、保険証券を見た時にかなり楽になります。


Liability:車保険で一番大事なのはここ

まず、一番大事なのが Liability です。

Liability は、自分が事故の加害者になった時に、相手に払うための保険です。

ここを最初に理解した方がいいです。

多くの人は、車保険というと、

「自分の車を直すための保険」

だと思っています。

もちろんそれもあります。

でも、アメリカの車保険で本当に怖いのは、自分の車ではありません。

相手に対してどこまで払えるか。

ここです。

相手の車。
相手のケガ。
相手の仕事。
相手の治療。
相手の弁護士。
場合によっては訴訟。

そこまで含めて、自分がどこまで責任を負うかという話になります。

だから、Liability を軽く見て、

「とりあえず州の最低限でいい」
「安いプランでいい」
「事故なんて起こさないから大丈夫」

と考えるのは危ないです。

事故は、自分が気をつけているかどうかだけでは決まりません。

一瞬の判断ミス。
雨。
夜。
高速道路。
相手の急ブレーキ。
見えにくい歩行者。
複数台が絡む事故。

そういう時に、Liability の上限が現実になります。


100k / 300k / 100k は「合計500k」ではない

ここはかなり誤解されやすいです。

たとえば、100k / 300k / 100k という Liability を見たとします。

これを見ると、

「100 + 300 + 100 で、合計500kあるのかな?」

と思うかもしれません。

でも違います。

これは3つの別々の上限です。


最初の100k:1人あたりのケガ

最初の 100k は、1人あたりの Bodily Injury、つまり相手のケガに対する上限です。

1人に大ケガをさせた場合、その人に対して払える上限が 100,000ドルという意味です。


真ん中の300k:1事故あたりのケガ全体

真ん中の 300k は、1事故全体で払える Bodily Injury の上限です。

たとえば、3人、4人がケガをした場合、その全員分の合計上限が 300,000ドルということです。


最後の100k:物損

最後の 100k は Property Damage、つまり物損の上限です。

相手の車、建物、信号機、電柱、フェンス、ガードレール、店舗などを壊した場合に、1事故あたり最大 100,000ドルまでという意味です。

ここを誤解すると危ないです。

たとえば、1人に重傷を負わせて、損害が 180,000ドルになったとします。

この場合、

「事故全体では300kあるから大丈夫」

ではありません。

1人あたりの上限が 100,000ドルなら、その人に対してはそこまでしか出ません。

残りの 80,000ドルは自己負担リスクになります。

つまり、100k / 300k / 100k は「500kの保険」ではありません。

別々の上限が3つ並んでいるだけです。


Bodily Injury:どのくらいの怪我で100kを超えるのか

ここで多くの人が思うはずです。

「でも、ケガで100kなんて本当に超えるの?」

日本の感覚だと、100k、つまり10万ドルはかなり大きな金額に見えます。

でもアメリカでは、思っているより早く超えます。

理由は単純です。

医療費が高いからです。


軽傷でも数千〜数万ドル

たとえば、事故後に救急車で運ばれる。
ERに行く。
レントゲンを撮る。
CTを撮る。
数時間検査される。

これだけでも、数千ドルから数万ドルになることがあります。

本人は「大したことない」と思っていても、事故後の検査は高くなります。

特にアメリカでは、念のための検査、画像診断、ER利用料がかなり重いです。


骨折すると一気に上がる

骨折になると、話は一気に変わります。

足を骨折した。
手術が必要になった。
プレートやスクリューを入れた。
リハビリが必要になった。
数か月仕事を休んだ。

こうなると、医療費だけでなく、休業損害も絡みます。

このあたりで 50,000ドルから150,000ドルくらいの世界は普通に見えてきます。

つまり、1人あたり100,000ドルの Liability は、骨折と手術が絡むだけでかなり怪しくなるということです。


首・背中・神経系はさらに揉めやすい

アメリカの事故で厄介なのが、首、背中、神経系です。

むち打ち。
慢性的な首の痛み。
背中の痛み。
神経痛。
MRI。
長期の理学療法。
Pain management。

こういうものは、外から見えにくいわりに、請求が伸びやすいです。

しかも、相手が「仕事に戻れない」「長期間痛みが続いている」「生活の質が落ちた」と主張すると、単なる治療費だけでは終わりません。

ここでも100k超えは現実的になります。


後遺症・障害になると桁が変わる

もし事故で後遺症が残ったら、さらに話は大きくなります。

歩行障害。
手が動かない。
長期介護。
仕事復帰が難しい。
収入が減る。
将来の医療費が必要になる。

ここまで来ると、数十万ドルから数百万ドルの世界です。

このレベルでは、100k / 300k では全然足りません。


死亡事故は別世界

死亡事故になると、さらに別世界です。

Wrongful death claim。
家族への賠償。
将来所得。
精神的損害。
弁護士費用。
訴訟。

500kですら足りないケースがあります。

つまり、Liability を上げる理由は、高級車にぶつけるからだけではありません。

本当に怖いのは、人を怪我させることです。


では、500k Liability は何を守ろうとしているのか

「じゃあ500kあれば安心なの?」

これも少し違います。

500kは、何でもカバーできる魔法の数字ではありません。

私の感覚では、500kは、

かなり重めの事故でも、人生破壊リスクを下げるための現実ライン

です。

たとえば、

  • 骨折+手術
  • 長期リハビリ
  • 数か月仕事不能
  • 複数人の軽傷・中等症
  • ある程度大きな物損

こういう事故に対して、100kや300kよりかなり強くなります。

でも、死亡事故、重度障害、複数人重傷、大型訴訟になると、500kでも足りないことがあります。

そこで出てくるのが Umbrella Policy です。

つまり、

100k / 300k / 100k は最低限よりは良い。
250k / 500k / 250k は現実的な防御ライン。
500k以上+Umbrella は、資産や将来所得を守るための防御。

こういう考え方になります。


Property Damage:100kを超える物損は本当にあるのか

次に Property Damage です。

これもよく、

「物損で100kなんて超えるの?」

と思う人がいます。

でも、これも普通にあり得ます。


高級車にぶつけた場合

まず分かりやすいのは高級車です。

Mercedes-Benz S-Class。
Porsche Taycan。
Ferrari。
Lamborghini。
Bentley。

こういう車は、見た目の損傷が小さくても、修理費が高くなります。

理由は、

  • 部品が高い
  • 専門工場が必要
  • センサーが多い
  • 塗装が高い
  • 修理期間が長い
  • 事故歴による価値下落がある

からです。

特に高級車や希少車では、「修理できるか」と「価値が戻るか」は別問題です。

ドアを直した。
塗装した。
走れるようになった。

それでも、事故歴がついた時点で市場価値が落ちることがあります。


TeslaのようなEVも油断できない

最近は、超高級車でなくても修理費が高いです。

Tesla Model Y などは、街中で普通に見ます。
でも、修理費は安くありません。

カメラ、センサー、バッテリー、アルミ構造、専用修理。
こういうものが絡むと、見た目以上に高くなります。

だから、Teslaは車両保険部分が高くなりやすいです。

一方、Honda Civic のような一般的な車は、Teslaより修理費が抑えられることが多いです。

ただし、Civic でも2020年式で時価が10,000ドル前後あるなら、車両保険を残すかどうかはかなり微妙なラインです。

その判断は後で説明します。


玉突き事故は一気に物損が増える

物損で怖いのは、1台だけではありません。

高速道路で玉突き事故を起こす。
SUVを3台巻き込む。
EVを1台巻き込む。
さらにガードレールも壊す。

こうなると、100kはすぐ現実的になります。

1台なら足りても、複数台になると一気に足りなくなります。


建物や店舗に突っ込むとさらに面倒

たまにニュースで見ます。

車が店舗に突っ込む。
ガソリンスタンドに突っ込む。
ショーウィンドウを破壊する。
壁を壊す。

この場合、壊した建物だけでは終わらない可能性があります。

店舗が営業できない。
修理中に売上が落ちる。
営業損害を主張される。

こういう話になると、物損は「壊れた壁の修理代」だけでは済まなくなります。


公共物も安くない

信号機、電柱、ガードレール、標識。

こういう公共物も、意外と高いです。

部品代だけではなく、工事費、人件費、交通規制、復旧作業が入ります。

「信号機に突っ込んだだけ」

では済みません。

だから Property Damage Liability も軽く見ない方がいいです。


Collision と Comprehensive:自分の車を守る保険

ここで、自分の車側の保険も整理します。


Collision

Collision は、ぶつかって壊れた自分の車を直すための保険です。

たとえば、

  • 相手の車にぶつかった
  • 壁にぶつけた
  • ガードレールに当てた
  • 単独事故を起こした
  • 横転した

こういう時です。

自分が悪い事故でも、自分の車を直すために使う保険です。


Comprehensive

Comprehensive は、衝突以外で車が壊れたり失われたりした時の保険です。

たとえば、

  • 盗難
  • 洪水
  • 火災
  • 落下物
  • 動物との接触
  • いたずら
  • ガラス破損

などです。

日本語でいうと「車両保険」に近い感覚ですが、Collision と Comprehensive は分けて考えた方が分かりやすいです。


新しい車・ローン車なら外しにくい

新しい車、ローン車、リース車の場合、Collision と Comprehensive は外しにくいです。

理由は単純で、壊れた時に自腹で買い替えるのが厳しいからです。

ローンやリースがある場合は、そもそも lender や leasing company から要求されることもあります。

特に Tesla のように修理費が高い車は、この部分の保険料も高くなります。


古い車なら外す選択肢もある

逆に、古い車で市場価値が低いなら、Collision を外す選択肢もあります。

たとえば、2020年の Honda Civic で、今の時価が10,000ドルくらいだとします。

この場合、考えるべきなのは、

車の時価 − Deductible − 年間のCollision保険料

です。

たとえば、

車の時価が10,000ドル。
Collision deductible が1,000ドル。
年間のCollision保険料が800ドル。

この場合、全損時に守っている金額は、ざっくり言うと最大9,000ドルくらいです。

でも、そのために毎年800ドル払っている。

5年払うと4,000ドルです。

この計算を見ると、

「それでも残すか」
「もう外すか」

を考えやすくなります。

ただし、ここで大事なのは車の価値だけではありません。

その車が通勤に必要か。
全損になった時、すぐ買い替えられるか。
現金で次の車を買えるか。
家族の生活に支障が出るか。

ここです。

つまり、古い車のCollisionを落とす判断は、

車の価値ではなく、壊れた時にすぐ買い替えられるか

で決めた方が現実的です。


Deductible:保険を使う前に自分で払うお金

Deductible は、保険を使う前に自分が最初に払う金額です。

たとえば、

修理代が4,000ドル。
Deductible が1,000ドル。

この場合、

最初の1,000ドルは自分。
残りの3,000ドルを保険が払う。

こういう仕組みです。


Deductibleが低い場合

事故時の自己負担は少なくなります。

でも、その分、毎月または半年ごとの保険料は高くなりやすいです。


Deductibleが高い場合

保険料は安くなりやすいです。

でも、事故時に最初に払う金額が大きくなります。

つまり、Deductible は「月々安くするか、事故時の負担を減らすか」の調整です。


私ならどう考えるか

Comprehensive は500ドル。
Collision は1,000ドル。

このあたりはかなり現実的です。

Comprehensive は、ガラス破損、飛び石、雹、盗難などで使う可能性があります。
だから500ドルにしておく。

Collision は大きめの事故で使うことが多いので、1,000ドルにして保険料を少し抑える。

この組み方は、極端に安くもなく、高すぎもせず、バランスがいいです。

もちろん、1,000ドルがすぐに出せないなら、Collision deductible を下げる方が安心です。

保険料だけで決めず、自分の現金力で決めるべきです。


Medical Payments:自分側の初期医療費

Medical Payments は、自分や同乗者の初期医療費を補助する保険です。

たとえば、5,000ドル each person のような形で設定されます。

これは、大事故を全部カバーするような金額ではありません。

でも、

  • 救急車
  • ER
  • 初期検査
  • 自己負担分

などの足しにはなります。

大きな医療保険の代わりにはなりませんが、事故直後の小さな支えにはなります。


UM/UIM:相手がちゃんとしていない時に自分を守る保険

ここもかなり重要です。

日本人はここを軽く見がちですが、アメリカでは本当に大事です。


UMとは

UM は Uninsured Motorist。

相手が無保険だった時に、自分を守る保険です。


UIMとは

UIM は Underinsured Motorist。

相手の保険が少なすぎた時に、自分を守る保険です。

つまり、UM/UIM は、

相手がちゃんとしていなかった時に、自分を守る保険

です。


なぜ重要なのか

アメリカには無保険ドライバーが普通にいます。

保険料が払えない。
更新を忘れた。
途中でキャンセルされた。
そもそも入っていない。
州最低限しか入っていない。

こういう人はいます。

つまり、

「事故相手がちゃんと保険に入っているはず」

という前提で考えない方がいいです。


相手が無保険だった場合、どうなるのか

例えば、赤信号で停車中に後ろから追突されたとします。

こちらは完全に被害者。

でも相手が、

  • 無保険
  • 学生
  • 資産なし
  • 低収入

だった場合。

この時、多くの人は、

「相手に請求すればいい」

と思います。

理屈上はそうです。

でも現実には、請求できることと、実際に回収できることは別です。

裁判で勝っても、相手にお金がなければ回収できません。

家なし。
貯金なし。
低収入。
資産なし。

この場合、「あなたが正しい」と認められても、お金が返ってこないことがあります。

ここで UM が重要になります。

UM は、相手が無保険で払えない時に、自分側の保険会社が補償してくれるものです。

UIM は、相手の保険が少なすぎる時に使います。

たとえば、相手の Liability が 25k / 50k / 25k のような州最低レベルだった。
でもこちらの医療費、修理費、休業損害がそれを超えた。

その時に、自分側の UIM が不足分を補う可能性があります。


Tesla時代はUIMがさらに重要

最近の車は修理費が高いです。

Tesla、EV、センサーだらけのSUV。

こういう車は、見た目の損傷が軽くても修理費が跳ねます。

相手が最低限の保険しか入っていない場合、普通に足りません。

つまり、こちらが完全に被害者でも、相手の保険が薄いと損する可能性があります。

だから UM/UIM は大事です。


じゃあ無保険の方が得なのか

ここで、少し嫌な疑問が出てきます。

「無保険で事故しても、支払えなければ終わりなら、無保険の方が得じゃないの?」

理屈だけ見ると、そう見えるかもしれません。

保険料を払わない。
事故を起こしても資産がない。
払えない。
破産する。
終わり。

でも現実はそこまで単純ではありません。


無保険は無敵ではない

まず、州によっては無保険運転そのものに罰則があります。

免許停止。
登録停止。
罰金。
車の登録問題。
SR-22要求。

こういうものが出てきます。

たとえば、California では、無保険で事故に関わると、過失に関係なく運転資格が最大4年停止される可能性があります。

New York では、保険が切れたまま登録車両を持っていると、登録や免許が停止される可能性があります。

Virginia では、無保険車両に対して費用や SR-22 の維持が求められる場合があります。

Arizona でも、保険やSR-22に関するルールがあり、保険切れや停止後の手続きは面倒になります。

つまり、無保険は「払えないから終わり」ではありません。

車社会のアメリカで、免許や登録や保険に傷がつくのは、かなり生活に響きます。


SR-22って何か

SR-22は、簡単に言えば、

「この人はちゃんと保険に入っています」

という証明を、保険会社が州に出す制度です。

これが必要になると、保険会社からは高リスクドライバー扱いされやすくなります。

結果として、保険に入りにくくなったり、保険料が上がったりします。


事故後の生活がかなり不便になる

アメリカは、場所によっては車がないと生活が成り立ちません。

通勤できない。
買い物に行けない。
学校に行けない。
子どもの送迎ができない。

無保険で事故を起こし、その後に免許や登録や保険で問題が出ると、生活そのものが不便になります。


Judgmentは未来に残ることがある

今お金がないから払えない。

それで終わるとは限りません。

判決が残ることがあります。

今は資産がない。
でも将来、給料が上がる。
家を買う。
投資を始める。

その時に、過去の judgment が重くなることがあります。


自己破産も万能ではない

自己破産すれば全部リセット、というほど単純ではありません。

クレジットに残る。
ローンが組みにくくなる。
保険料に影響する。
住宅や車の購入に影響する。
生活コストが上がる。

つまり、無保険は「今だけ逃げる」ように見えて、実際には未来にツケを回すことがあります。

そして何より、被害者側から見れば最悪です。

相手が無保険。
相手に金がない。
回収できない。

困るのは被害者です。

だからこそ、自分側で UM/UIM を持つ必要があります。


Umbrella Policy:Liabilityを超えた時の最後の防波堤

Umbrella Policy も、名前だけ聞くと分かりにくいです。

でも仕組みはシンプルです。

Umbrella は、Auto や Home の Liability の上に乗る追加の賠償責任保険です。

たとえば、Auto Liability が 500,000ドルまでだった。
でも事故全体の請求が 1.2 million になった。

この場合、普通のAuto Liabilityだけでは足りません。

そこで、Umbrella がその上をカバーする、という考え方です。

もちろん、実際には保険ごとの条件や除外があります。

でも基本構造は、

通常のLiabilityを超えた時の追加防御

です。


誰に必要なのか

Umbrella は、超富裕層だけのものではありません。

家を持っている人。
投資口座がある人。
貯金がある人。
年収が上がってきた人。
将来の給与差押えリスクを下げたい人。

こういう人は、検討する価値があります。

アメリカでは、Umbrella は「金持ちの贅沢」というより、

普通の中流家庭が、自分の資産と将来所得を守るための防波堤

として考えるものです。


実際の事故例で考える

ここからは、実際にどういう事故で保険が問題になるのかを見ていきます。


例①:高級車にぶつけた場合

例えば、Honda Civic で Ferrari にぶつけたとします。

見た目には、ドアが少し凹んだだけ。
板金で直りそう。

でも、高級車は話が違います。

理由は、修理できるかと価値が戻るかが別問題だからです。

普通の車なら、

「直ったならOK」

で終わることが多いです。

でも Ferrari のような高級車や希少車では、事故歴がついた時点で市場価値が落ちます。

修理できた。
走れる。
見た目も戻った。

それでも「事故車」になった事実は消えません。

さらに、高級車オーナーは Hagerty、Chubb、PURE のような specialty insurer を使っていることがあります。

こういう保険は、車の価値を守る方向で動きます。

つまり、

  • diminished value
  • total loss
  • replacement value

を強く主張することがあります。

Civic側から見ると、

「ちょっとぶつけただけ」

でも、Ferrari側では、

「事故車には乗りたくない」
「市場価値が落ちた」
「修理しても元通りではない」

という話になります。

そして、Property Damage limit を超えた分は、自腹リスクになります。

ここが怖いところです。


例②:玉突き事故を起こした場合

玉突き事故は、Liability が一気に足りなくなる典型です。

高速道路。
雨。
急ブレーキ。
前方不注意。
4台巻き込み。

こうなると、相手は1人ではありません。

車も複数台。
ケガ人も複数。
休業損害も複数。

ここで効いてくるのが、per person と per accident の違いです。

たとえば、100k / 300k の Bodily Injury だとします。

1人あたりは100k。
事故全体では300k。

4人がケガをして、全員がそれなりに重い治療を受けたら、300kはすぐに見えてきます。

Property Damage も同じです。

複数台の車を巻き込めば、100kの物損上限も超える可能性があります。

玉突き事故の怖さは、「1人・1台」の感覚では済まないところです。


例③:人を怪我させた場合

高級車も怖いです。

でも、もっと怖いのは人身事故です。

軽傷でも、ER、検査、救急車で数千〜数万ドル。

骨折なら、手術、リハビリ、休業補償で一気に高額化。

首や背中の慢性痛なら、MRI、理学療法、痛みの管理、長期通院。

後遺症なら、将来医療、収入減、生活の質の低下。

死亡事故なら、wrongful death claim、家族への賠償、訴訟。

ここで分かるのは、

Ferrariより人間の方が高い

ということです。

Liability を上げる理由は、「高級車が怖いから」だけではありません。

本当の理由は、人を怪我させた時の損害が大きいからです。


例④:信号機・壁・店舗に突っ込んだ場合

たまにニュースで見ます。

車が店舗に突っ込む。
信号機を倒す。
壁を壊す。
ガソリンスタンドに突っ込む。

こういう場合、自分の車は Collision で対応する可能性があります。

でも、壊した物は Property Damage Liability の対象です。

信号機は意外と高いです。

部品だけでなく、工事、人件費、交通整理、電気工事、復旧作業が入ります。

店舗に突っ込んだ場合は、建物の修理だけでは終わらない可能性もあります。

営業停止。
売上減。
修理期間中の損害。

そういう話が出てくることもあります。

つまり、相手が車でなくても、Property Damage Liability は重要です。


例⑤:Car Chaseや緊急車両が絡む事故

アメリカでは、警察の追跡や緊急車両が絡む事故もあります。

この場合、責任関係がかなり複雑になります。

逃走車。
警察。
一般車。
自治体。
盗難車。
ヒット&ラン。

誰が悪いのか、すぐに分からないことがあります。

しかも、逃走車が無保険だったり、盗難車だったりすることもあります。

そうなると、自分側の UM/UIM や Collision が重要になります。

こういう事故では、

「相手が悪いんだから相手が払うでしょ」

では済まないことがあります。

誰が悪いかがすぐ決まらない事故ほど、自分側の保険が大事になります。


例⑥:相手が無保険だった場合

これは、アメリカでは思っている以上によくある話です。

日本から来た人は、

「さすがに車保険くらいみんな入ってるでしょ」

と思いがちです。

でも現実は違います。

無保険ドライバーはいます。

そして、相手が無保険の場合、こちらが完全に被害者でも困ることがあります。

たとえば、赤信号で停車中に追突された。
こちらは悪くない。
でも相手は無保険。
資産なし。
低収入。

この場合、相手に請求することはできます。

でも、回収できるとは限りません。

そこで必要になるのが UM/UIM です。

UM は、相手が無保険だった時。
UIM は、相手の保険が足りなかった時。

つまり、

相手がまともに払えない時に、自分を守る保険

です。

アメリカでは、自分がちゃんとしているだけでは足りません。

相手がちゃんとしていない時の準備も必要です。


では、実際にどう組むべきか

ここまで整理した上で、私ならこう考えます。


1. Liabilityを最優先する

まず最優先は Liability です。

最低でも、

250k / 500k / 250k

を検討したいです。

可能ならさらに上。

100k / 300k / 100k は悪くありません。
州最低ラインよりはかなりまともです。

でも、アメリカで家族がいて、車が複数台あり、資産形成も始まっているなら、安心ラインとは言いにくいです。

新卒で車1台、資産なしの頃ならまだ分かります。

でも、中流家庭フェーズに入ったら、Liability は見直した方がいいです。


2. Liabilityを上げると保険料はいくら変わるのか

ここは一番知りたいところだと思います。

ただし、正確な金額は quote を取らないと分かりません。

保険料は、

  • ZIP code
  • 年齢
  • クレジット
  • 運転歴
  • 事故歴
  • 車種
  • 同居ドライバー
  • 割引
  • 走行距離

で大きく変わります。

ただ、経験的には、Liability を 100k / 300k / 100k から 250k / 500k / 250k に上げても、車両保険ほど大きく跳ねないことが多いです。

目安としては、1台あたり月に数ドルから数十ドル程度の差で収まることもあります。

もちろん、これは人によります。

若いドライバーがいる。
事故歴がある。
高リスク地域。
複数台。
クレジットが悪い。

こうなると差額は大きくなる可能性があります。

でも、Liabilityを上げた時の差額が、月10ドル、20ドル、30ドル程度だった場合、それを削る意味はあまりありません。

事故で上限を超えた時の差は、数万ドル、数十万ドルになるからです。

ここは保険料節約の最初の削りどころではありません。


3. UM/UIMも厚くする

Liability を上げるなら、UM/UIM も近い水準にしたいです。

自分が他人に与える損害と、他人から受ける損害は、同じ道路を走っている以上、大きくは変わりません。

相手が無保険・低保険だった時に自分を守るためにも、ここは軽く見ない方がいいです。


4. UM/UIMを上げると保険料はいくら変わるのか

これも正確には quote が必要です。

ただ、UM/UIM も、車両保険ほど大きく跳ねないことが多いです。

目安としては、1台あたり月に数ドルから十数ドル程度で変わるケースもあります。

もちろん州や条件で変わります。

無保険ドライバーが多い州では高くなりやすいです。
若いドライバーがいる場合も変わります。
過去の事故歴や地域でも変わります。

ただ、UM/UIM は「自分が悪くない事故」で自分を守る保険です。

ここを削ると、

「完全に被害者なのに、相手が払えないから損する」

という状況になります。

それを考えると、Liability と同じくらい大事です。


5. 新しい車ならCollision/Comprehensiveは外しにくい

Tesla のような車は修理費が高いです。

ローンやリースがあるなら、そもそも必要になることも多いです。

新しい車、高い車、修理費が高い車は、Collision と Comprehensive を外すのはかなり慎重に考えた方がいいです。


6. Deductibleは現金力で決める

Deductible は、「事故時にすぐ払える金額」で決めます。

1,000ドルをすぐ払えるなら、Collision deductible 1,000ドルは現実的です。

でも、事故のたびに1,000ドルが重いなら、少し下げた方が安心かもしれません。

保険料だけではなく、自分の現金余力で決めるべきです。


7. 資産があるならUmbrellaを検討する

家。
投資。
貯金。
年収。
将来所得。

守るものが増えたら、Umbrella を検討する価値があります。

特に中流家庭になってくると、「取られるものがある」状態になります。

その段階で、Liability が新卒時代のままというのは危ないです。


Quoteを取る前に、アプリで試算できるか

できます。

ただし、ここは少し注意が必要です。

GEICO、Liberty Mutual、Progressive、Allstate などは、Webやアプリで coverage limit を変えながら見積もりできることが多いです。

ただ、正式な quote に進むと、メールや電話が増えることがあります。

これが面倒です。

だから、いきなり比較サイトに個人情報を全部入れるのはおすすめしません。

まずやるなら、次の順番が現実的です。


1. 今の保険会社のアプリでcoverage変更だけ試す

今入っている保険会社のアプリやWebで、

  • Liability
  • UM/UIM
  • Deductible
  • Collision
  • Comprehensive
  • Rental

を変更した時の差額が見られることがあります。

これなら、外部サイトに電話番号をばらまかずに試算できます。


2. 比較サイトに電話番号を入れない

比較サイトは便利ですが、電話番号を入れると連絡が増えます。

できれば、電話番号必須のサイトは避ける。

どうしても必要なら、保険見積もり用の番号やメールを分ける。


3. 代理店に「購入前提ではなく差額だけ知りたい」と伝える

代理店型なら、

「100/300/100 から 250/500/250 に上げた差額だけ見たい」
「UM/UIMを同じ水準にした場合の差額だけ知りたい」
「CivicのCollisionを外した場合の差額を見たい」

と具体的に聞く。

こうすると話が早いです。


4. 同条件で比較する

比較する時は必ず同じ条件にします。

同じ Liability。
同じ UM/UIM。
同じ deductible。
同じ車両保険。
同じ rental。
同じ roadside。

そうしないと、安いのではなく、ただ補償が薄いだけということが起きます。


どの保険会社を選ぶべきか

保険会社選びも大事です。

ただし、最初に言っておきたいのは、

保険会社より先に、coverage の中身を決めるべき

ということです。

安い保険を探す前に、

  • Liabilityはいくらにするのか
  • UM/UIMはいくらにするのか
  • Deductibleはいくらにするのか
  • Collision/Comprehensiveを付けるのか
  • Umbrellaを検討するのか

を決める。

その上で比較しないと意味がありません。

なぜなら、安い保険の正体が、単に補償が薄いだけということがあるからです。


GEICO

オンライン中心で、価格が安く出ることがあります。

自分で内容を理解して、アプリやWebで管理できる人には向いています。

ただし、安さだけで選ぶと coverage が薄くなっていることがあるので、比較時は条件をそろえる必要があります。


Liberty Mutual

大手で、autoだけでなく home や umbrella と組み合わせて考えやすい会社です。

家や複数車をまとめたい人には候補になります。

割引条件によって価格が変わるので、単体では高く見えても、bundle で変わることがあります。


Progressive

見積もりが取りやすく、価格競争力もあります。

リスク高めのドライバーや、条件によっては強い場合があります。

オンラインで比較しやすいのも利点です。


Allstate

代理店型とオンラインの中間のような使い方ができます。

地域や代理店によって対応の印象が変わることがあります。


Amica

安さより対応重視の人向け。

事故時の対応や顧客満足を重視するなら候補になります。


USAA

軍関係者やその家族で eligibility があるなら、有力候補です。

入れる人は一度見積もりを取る価値があります。


Chubb

高資産層、高級車、複数資産向け。

普通の人が最初に選ぶ会社ではありませんが、家、高級車、投資資産などが大きくなってきた人には候補になります。


保険会社比較でやってはいけないこと

やってはいけないのは、

「月額だけを比べる」

ことです。

A社が安い。
B社が高い。

それだけでは判断できません。

A社は Liability が低いかもしれない。
UM/UIM が薄いかもしれない。
Deductible が高いかもしれない。
Rental がないかもしれない。
Roadside がないかもしれない。

だから比較する時は、必ず同条件にします。

同じ Liability。
同じ UM/UIM。
同じ Deductible。
同じ Collision/Comprehensive。
同じ Rental。

その上で価格を比べる。

これをしないと、保険比較ではなく、ただ薄い補償を選んでいるだけになります。


人生ステージ別:鉄板の組み方

最後に、人生ステージ別に「私ならこう考える」という鉄板パターンを整理します。

もちろん、州、収入、資産、車種、家族構成で変わります。

でも、大枠としてはこうです。


1. 仕事を始めたばかりの時

新卒、学生上がり、独身、車1台。

この時期は、資産も少なく、保険料もなるべく抑えたいと思います。

これは自然です。

ただし、州最低限だけは避けたいです。

最低でも 100k / 300k。
できれば 250k / 500k。

Property Damage も、最低限ではなく100k以上を考えたいです。

車が古く、価値が低いなら、Collisionを外す選択肢はあります。

でも Liability は削らない。

ここがポイントです。


2. 結婚した時・子どもができた時

この段階から、守るものが増えます。

配偶者。
子ども。
家計。
貯金。
将来の家。
仕事。

このタイミングで、Liability と UM/UIM を上げるべきです。

最低でも 250k / 500k / 250k。

家や投資があるなら、Umbrellaも検討。

この時期に「独身時代の保険のまま」はかなり危ないです。


3. 家を買った時

家を買ったら、保険の考え方は変わります。

なぜなら、守る資産ができるからです。

Liabilityを上げる。
UM/UIMも上げる。
Home insurance と Auto をbundleする。
Umbrellaを検討する。

この流れが自然です。

家を持っているのに、Auto Liability が州最低限というのはバランスが悪いです。


4. 子どもが運転を始める時

ここはかなり重要です。

子どもが運転を始めると、保険料はかなり上がります。

正直、びっくりするくらい上がることがあります。

でも、ここで Liability を下げるのは危険です。

若いドライバーは事故リスクが高いです。

だから本来は、保険料が上がる時期ほど、防御を厚くする必要があります。

やるべきことは、

  • Good student discount を確認
  • Driver training discount を確認
  • 車種を慎重に選ぶ
  • 古い安全な車を使う
  • Liability は下げない
  • UM/UIM も維持する

です。

子どもが運転する時期は、家計的にはきついです。

でも、ここで保険を薄くすると、もっと大きなリスクを抱えることになります。


5. 引退が近くなった時

引退が近くなると、収入は減っていくかもしれません。

でも、資産はあることが多いです。

家。
退職資金。
投資口座。
貯金。

つまり、守るものはまだあります。

だから、運転距離が減ったからといって、Liabilityを大きく落とすのは慎重に考えた方がいいです。

走行距離が減るなら、low mileage discount を確認する。
車両保険は車の価値に応じて見直す。
でも Liability と Umbrella は、資産防衛として残す。

これが現実的です。


最後に:保険は月額を安くするゲームではない

アメリカの車保険は、最初は意味不明な単語ゲームに見えます。

でも整理すると、本質はそこまで複雑ではありません。

自分の車を守るのは、Collision と Comprehensive。

相手に払うのは、Liability。

相手が無保険・低保険だった時に自分を守るのは、UM/UIM。

Liability を超えた時の最後の防波堤が、Umbrella。

この4つの関係が分かると、保険の見方がかなり変わります。

そして、一番大事なのはこれです。

事故は「起こすかどうか」ではなく、
「誰に当たるか」「どこまで広がるか」。

相手が普通の車かもしれない。
高級車かもしれない。
歩行者かもしれない。
複数台かもしれない。
無保険かもしれない。
店舗かもしれない。
公共物かもしれない。

事故は、自分の都合よく起きてくれません。

だから車保険を選ぶ時は、月額だけで見ない方がいいです。

安い保険を選んだつもりが、実は自分の未来にリスクを押し付けていただけ、ということがアメリカでは普通に起こります。

新卒で車1台、資産なしの時代と、家族がいて、車が複数台あって、資産形成をしている時代では、選ぶべき保険は違います。

収入や資産が変わったのに、保険だけ昔のまま。

これが一番危ない。

アメリカで車に乗るなら、保険は「とりあえず入るもの」ではなく、

事故が起きた時に、自分の人生をどこまで守れるかを決めるもの

として考えた方がいいです。

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