American Fat

「太ってる」の基準は、国によって本当に違う

―― Billie Eilish と Alysa Liu を見ていて思うこと

最初に簡単に説明すると、Billie Eilish はアメリカの人気シンガー。
10代から世界的スターになり、独特な暗い世界観や oversized fashion でも有名になった。

一方、Alysa Liu はアメリカの女子フィギュアスケート選手。
若くして天才少女として注目され、その後オリンピック金メダルを取ったスケーターである。

この二人を見ていて、ずっと思っていたことがある。それは、「アメリカ人とアジア人って、“太ってる”の基準が本当に違う」ということ。


そもそもの始まりは Christina Aguilera だった

実はこの感覚を最初に強く意識したのは、学生時代だった。友人たちと Christina Aguilera のMVを見ていた。確か、水着のトップのような衣装で踊っているMVだった。すると、一緒に見ていたアジア系の女の子が、「うわ〜、太ってるわ〜」と言った。

その瞬間、「え? アメリカでは Christina Aguilera って別に“デブ”扱いじゃないよな?」と思った。でもアジア圏の感覚だと、あれでも「太い」に入る。

ここからずっと、「アジアとアメリカの“普通”って全然違うな」と考えるようになった。


アジアの「普通」は、アメリカではかなり細い

例えば、日本人女性で

  • 165cm
  • 50kg

くらいだと、日本や韓国では「普通〜ちょっと細い」くらい。でもアメリカに来ると、かなり細い部類に入る。逆に、アメリカで

・“healthy”
・“normal”
・“athletic”

と言われる体型が、アジア圏では普通に

・「ぽっちゃり」
・「太め」

扱いされることが珍しくない。ここを無視して、「そんなふうに感じるのは偏見です」だけで終わらせると、逆に現実が見えなくなる。


Billie Eilish の件がわかりやすい

Billie Eilish はずっと、

  • body shaming
  • 女性への過剰な痩せ要求
  • SNS文化
  • 他人の視線

について語ってきた。

そしてアメリカでは、「Billie は fat じゃない。普通。」という反応が非常に多い。でも、アジア圏の感覚だと、「いや、普通に大きめでは?」と思う人はかなりいる。これは悪意というより、「基準」が違う。


アメリカの “curvy” は、アジアでは「太め」扱いされる

アメリカには “curvy” という便利な言葉がある。でも正直、アジア人から見ると、「それ、普通に fat 判定される体型では?」と思うケースはかなり多い。

その象徴が Meghan Trainor だった。彼女の代表曲は「All About That Bass」。
要するに、「細いだけが正義じゃない」という body positivity 系ソングである。

ただ、日本人的感覚で見ると、彼女はかなり「大きい」。普通に「デブ寄り」判定される人も多いと思う。

でもアメリカでは、「ちょっとサイズ大きいけど可愛い女性」として扱われていた。ここがかなり面白い。

日本だと、あのサイズ感で「可愛い系」をやると「いや、その体型で?」という空気がかなり出る。でもアメリカだと成立する。つまり、

  • healthy
  • thick
  • curvy
  • athletic

という言葉の感覚自体が違う。


ただ、私が Billie Eilish に感じる違和感は「体型」だけではない

ここで誤解されたくないのは、私は別に「Billie Eilish は太ってるからダメ」と言いたいわけではない。正直、音楽家なんだから、極論を言えば体型なんてどうでもいい。

曲が良ければいい。
ライブが凄ければいい。
世界観が刺さればいい。

本来、そこが本質。でも、自分が Billie を見ていて引っかかるのは、体型そのものより、「周囲の視線に振り回されている感じ」だったりする。


「太ってると言われること」が、そんなに問題なのか?

Billie はずっと body image の話をしてきた。もちろん、それ自体は理解できる。ただ、見ていて思うのは、「いや、そこまで他人の評価を気にする必要ある?」ということ。

アーティストって、本来もっと図太い存在だと思っている。極端に言えば、「うるせえ。私はこれで行く。」くらいでいい。なのに、

  • oversized clothes
  • corset look
  • body positivity
  • slimming phase
  • again baggy clothes

みたいに、方向性が揺れ続けている感じがしてしまう。そこに「迷走感」を感じる。


今は痩せているのに、“太っている人サイズ”の服を着続ける違和感

今の Billie は、昔よりかなり痩せている。でも相変わらず、

  • 極端に大きい服
  • シルエットを隠す服
  • 「体を見せない」方向

に戻ることが多い。もちろん本人の自由。でも見ている側としては、「結局、他人の目をずっと気にしてるんだな…」という印象になる。そしてアーティストとして、それが少しダサく見えてしまう。


音楽にもフィルターがかかる

これはかなり正直な話。人って、作品だけを完全に切り離して見られない。Billie の曲を聞く時にも、「あ、この“周囲の評価に振り回されてる感”の人か」というフィルターが入る。すると、曲まで少し“ダサく”聞こえてしまう。

ただ、ここには世代差もあると思う。私の世代って、

  • 世間の評価
  • 「痩せろ」圧力
  • 美しさ競争

と、本当に戦いながら生きてきた世代だった。実際に、

  • 過食症
  • 拒食症
  • 無茶なダイエット

になってしまう人も普通にいた。

でも、当時のアーティストたちは、「それでも美しくなろうとする」努力をしていた。そして、その苦しさや執念みたいなものが、曲やMVや存在感に反映されていたと私は感じている。

だから今の、「なんでもOK」「ありのままでいい」の流れを見ると、逆に「努力を放棄している」ようにも見えてしまう時がある。もちろん、これはかなり世代的感覚だと思う。でも、そのフィルターが入ってしまうと、音楽を純粋に楽しめなくなる。


Alysa Liu の場合は、もっと単純に「競技美」の話

一方で Alysa Liu の場合は少し違う。

彼女は技術的には本当に凄い。オリンピック金メダルも取った。でも、自分の中では、「Figure Skate としての美しさが少し減る」感覚がどうしてもある。これはかなり自分でも驚いた。


柔道なら理想的。でも Figure Skate だと話が変わる

別に日常で見れば、彼女は普通に健康的。むしろ柔道や他のパワー系スポーツなら、かなり理想的な体型に近いと思う。でも Figure Skate になると話が変わる。なぜか。

フィギュアって、

  • ジャンプ
  • 回転
  • スピン

だけではなく、

  • ライン
  • シルエット
  • 浮遊感
  • 軽さ
  • 「氷に溶ける感じ」

まで含めて見られる競技だから。


Kim Yuna を見慣れていると、どうしても比較してしまう

特に Yuna Kim の時代を見てきた人は、

  • 細い
  • 長く見える
  • 無駄がない
  • 浮いて見える

あの完成度が頭に焼き付いている。だから Alysa Liu を見ると、

「強い」
「パワフル」
「筋肉感がある」
「幅がある」

方向に見える。

その結果、「美しさが−10%くらい減る」という感覚になる。


実は、私は“昔の Alysa Liu”の方が好きだったりする

ここはかなり複雑な感情。

実際、若い頃の Alysa Liu は、フィギュア界の「痩せろ文化」や体型管理にかなり苦しんでいた。本人はそこから抜け出して、「もう誰にも食事を管理されたくない」という方向へ行った。それは理解できる。でも正直に言うと、私はあの頃の彼女の方が aesthetic 的には好きだったりする。つまり、

  • 苦しんでいた時代
  • 制限されていた時代
  • フィギュアらしい細さを保っていた時代

の方に、「完成された美」を感じてしまう。これ、今のアメリカではかなり言いづらい。


「痩せる努力」をしていたら、ほぼ完璧だったのでは?と思ってしまう

ここが正直、一番モヤモヤする部分かもしれない。もし彼女が、

  • もう少し絞る
  • もう少し線を細くする
  • もう少し軽さを出す

方向に行っていたら、「技術 + 美しさ」の両方を持つ、ほぼ完璧なスケーターとして歴史に残ったのでは?と思ってしまう。つまり、「勝ってるのに、まだ aesthetic 的ポテンシャルが残っている感じ」がする。

そこに“惜しさ”を感じる。


でも、今のアメリカではこの話がかなり言いづらい

今のアメリカでは、

  • body positivity
  • anti body shaming
  • healthy body

の流れがかなり強い。だから、「技術は凄い。でも aesthetic 的にはもっと細い方が美しい」と言うだけでも、かなり危険扱いされる。でも本音では、多くの人が普通に「見た目の美しさ」は感じ取っている。特に Figure Skate は、もともとそういう競技。そこを完全に無視して、「技術だけ見ろ」というのも、実際かなり無理があると思う。


「太ってる」の話は、実は文化の話

結局、この問題って単純な BMI の話ではない。

  • アメリカの価値観
  • アジアの価値観
  • 女性芸能人への期待
  • フィギュアスケート特有の美学
  • SNS時代の body positivity

全部が混ざっている。そしてアメリカに長く住むと、本当に実感する。「アジア人の “普通” は、アメリカではかなり細い」

逆に、「アメリカ人の “普通” は、日本人感覚だとかなり大きい」これも現実。だから、

「Billie Eilish は fat か?」
「Alysa Liu は wide か?」

みたいな話は、実は医学の話だけではない。かなり文化の話なのである。

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