アメリカで生活する上で避けて通れないタックスリターン(確定申告)。実は、2025年末でトランプ政権時代に導入された大型減税措置(TCJA)が期限切れとなり、2026年から税金の仕組みが大きく変わることをご存知でしょうか?
この変更は、私たちの手取り額や家計に直接影響を与える可能性があります。「税金が高くなって払えないかも…」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、事前に変更点を正しく理解し、今から準備しておけば大丈夫です。この記事では、2026年から具体的に何が変わるのか、そして私たちがどう備えるべきかを分かりやすく解説します。
2026年から何が変わる?主な変更点をチェック
2026年の税制改正は、2017年に成立した「減税・雇用法(Tax Cuts and Jobs Act, TCJA)」の多くの項目が2025年末で失効することによって起こります。これにより、税制は基本的にTCJA導入前の2017年の状態に戻ります。
主な変更点は以下の3つです。
- 所得税率(Tax Rate)の上昇
- 標準控除(Standard Deduction)の大幅な減額
- 各種控除の変更
これらの変更が、私たちの税負担にどのような影響を与えるのか、具体的に見ていきましょう。
【どう変わる?】所得税ブラケット(Tax Bracket)の変更
最も大きなインパクトがあるのが、所得税率の変更です。全体的に税率が引き上げられ、特に中間所得層の負担が増える可能性があります。
以下に、申告資格(Filing Status)が「独身(Single)」と「夫婦合算申告(Married Filing Jointly)」の場合の、2025年と2026年の税率の変化を比較してみましょう。
独身(Single)のタックスブラケット比較
| 税率 | 2025年の課税所得 | 2026年の課税所得(予測) |
|---|---|---|
| 10% | $0 – $11,600 | $0 – $11,950 |
| 12% | $11,601 – $47,150 | – |
| 15% | – | $11,951 – $48,700 |
| 22% | $47,151 – $100,525 | – |
| 25% | – | $48,701 – $104,100 |
| 28% | – | $104,101 – $212,350 |
| 33% | – | $212,351 – $268,600 |
| 35% | $243,726 – $609,350 | $268,601 – $537,200 |
| 39.6% | – | $537,201以上 |
夫婦合算申告(Married Filing Jointly)のタックスブラケット比較
| 税率 | 2025年の課税所得 | 2026年の課税所得(予測) |
|---|---|---|
| 10% | $0 – $23,200 | $0 – $23,900 |
| 12% | $23,201 – $94,300 | – |
| 15% | – | $23,901 – $97,350 |
| 22% | $94,301 – $201,050 | – |
| 25% | – | $97,351 – $198,050 |
| 28% | – | $198,051 – $321,450 |
| 33% | – | $321,451 – $537,150 |
| 35% | $487,451 – $731,200 | $537,151 – $644,550 |
| 39.6% | – | $644,551以上 |
見ての通り、12%や22%といった税率がなくなり、15%、25%、28%といったより高い税率区分に戻ります。
標準控除(Standard Deduction)がほぼ半減!
もう一つの大きな変更が、多くの人が利用する「標準控除」の額です。標準控除とは、収入から自動的に差し引ける非課税枠のことで、これが大きいほど税金が安くなります。
TCJAによってこの額はほぼ倍増していましたが、2026年からはインフレ調整分を考慮してもほぼ半額に戻る見込みです。
- 独身(Single): 約$15,000 → 約$8,000に
- 夫婦合算申告(Married Filing Jointly): 約$30,000 → 約$16,000に
これにより、課税対象となる所得(Taxable Income)が自動的に増えるため、多くの人が増税の影響を受けることになります。
「税金が払えない!」という事態は起こりうる?
これらの変更により、2026年に受け取る還付金が減ったり、逆に追加で納税が必要になったりするケースは確実に増えるでしょう。
特に、給与から天引きされる源泉徴収額の調整が新しい税制に追いつかない場合、年末のタックスリターンで予想外の納税額が発生し、「お金が足りない!」という事態に陥る可能性は十分に考えられます。
今からできる!賢い準備と対策
では、私たちはこの変化にどう備えれば良いのでしょうか?慌てないために、今からできる対策がいくつかあります。
- 自分の税務状況を把握する
まずは、現在の自分の収入、利用している控除、そして支払っている税金額を把握しましょう。過去の申告書を見直してみるのがおすすめです。 - 源泉徴収額を見直す(W-4フォームの再提出)
2026年になったら、勤務先に提出する「Form W-4」を見直しましょう。毎月の給与から少し多めに税金を天引きしてもらうように設定すれば、年末に大きな追加納税が発生するリスクを減らせます。 - 項目別控除(Itemized Deduction)の準備
標準控除額が下がるため、これまでは利用していなかった「項目別控除」の方が有利になる人が増えます。住宅ローン利子、州税・地方税(SALT)、寄付金、高額な医療費などの領収書や記録を今からしっかり保管しておく習慣をつけましょう。 - 税制優遇のあるリタイアメント口座を最大限活用する
401(k)やIRA(個人退職勘定)への拠出は、課税所得を減らす最も効果的な方法の一つです。2025年中にこれらの口座へ可能な限り拠出しておくことで、税負担を軽減できます。 - 専門家(CPAなど)に相談する
自分の状況がどう変わるか不安な場合は、早めに公認会計士(CPA)などの専門家に相談するのが賢明です。特にビジネスオーナーや投資収入がある方は、プロのアドバイスが大きな助けになります。
まとめ
2026年の税制改正は、多くのアメリカ在住者にとって「増税」を意味します。しかし、これは決して不意打ちではありません。変更点を正しく理解し、計画的に準備を進めることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。
「まだ先のこと」と思わずに、ぜひこの記事をきっかけにご自身の税金対策を見直してみてください。賢く備えることが、将来の経済的な安心につながります。
