Law & Order S1E2「Subterranean Homeboy Blues」正当防衛と復讐をテーマにしたFeatured Image

Law & Order S1 E2 “Subterranean Homeboy Blues” 解説|正当防衛と復讐、その境界はどこにあるのか


Episode Information

項目内容
シーズンSeason 1
エピソードEpisode 2
タイトルSubterranean Homeboy Blues
放送年1990年
主なテーマSelf-defense / Revenge / Vigilante Justice / Reasonable Doubt
重要制度正当防衛 / Murder Two / Sullivan Law / Public Defender / Arraignment

あらすじ

New Yorkの地下鉄でLaura di BiasiがDarnell ChenaultとMichael Jonesという二人の男を銃撃する。Lauraは二人から性的に脅され、襲われると思ったため撃ったと主張する。

捜査を進めると、Laura自身も過去に地下鉄で別の3人の若者から暴行を受けていたことが分かる。そのときの大怪我によってダンサーとしてのキャリアを失い、その後は病院でradiology technicianとして働いていた。ここは重要で、以前Lauraを襲った男たちと、今回Lauraが撃ったChenaultとJonesは別人である。

検察は過去の暴行への怒りや恐怖を抱えたLauraが銃を持つようになり、次に自分を脅かす男たちが現れたとき、その過去の怒りまで重ねて発砲したのではないか、と考える。その後、Michael Jonesが死亡する。さらに指紋を調べると、Jonesは偽名で、本名はMichael “Mosquito” Mosket。重大な少年犯罪歴を持つ人物だったことが判明する。

しかしLauraは発砲時点でMosketの正体も犯罪歴も知らなかった。そして裁判が進む中、別の女性がMosketからrapeされ、Chenaultも関与していた可能性があると証言する。ここで事件はもう一度大きく動く。Lauraが地下鉄で感じた危険は、本当に正しかった可能性が出てきたからだ。


今回の重要テーマ①

Self-defenseはRevengeではない

私はこの回については、基本的にこの事件を担当する検察官Ben Stoneと同じ立場だ。Lauraが以前ひどい暴行を受けたことには同情する。大怪我を負い、何度も手術を受け、ダンサーとしてのキャリアまで失った。その怒りが簡単に消えるはずもない。しかし、それと今回別の人間を撃っていいかどうかは別の問題だ。Stoneはこの点をかなり明確に言っている。

“That girl was revenging the earlier attack, and self-defense does not allow for revenge!”

正当防衛は復讐を認める制度ではない。ここがこのエピソードについての私の考えにも一番近い。過去に理不尽な被害を受けた。警察や司法が十分に守ってくれなかった。その怒りが残っている。そこまでは理解できる。

しかし、その怒りを次に現れた別の人間に向けて、自分が裁く側になってしまったら話は変わる。今回撃たれたMosketに重大な犯罪歴があったとしても同じだ。Lauraはそれを知らなかった。Stoneも法廷で、

“Mr. Mosket’s priors have no bearing on this case, Judge. Nor, of course, could she have known about them.”

と言っている。Mosketが過去に何をしていたかは、Lauraが発砲した瞬間の判断を後から正当化する材料にはならない。Lauraは知らなかったのだから。


今回の重要テーマ②

Self-defenseにはProportionalityが必要

self-defenseなら何をしても許されるわけではない。そこで出てくるのがproportionalityという考え方だ。簡単に言えば、相手から受けている危険と、それに対して自分が使ったforceが釣り合っているのかという問題。さらに、そのthreatが遠い将来の可能性ではなく、今まさに起ころうとしている imminent threat なのかも重要になる。検察官StoneはLauraの行動について、

“your client acted in a way proportional to imminent attack.”

という点を問題にする。proportional= 釣り合った・imminent= 差し迫った、今にも起こりそうな

さらにStoneは、

“The defendant must also act in a way that is thwarting the attack, not inflicting grave injury on the victim.”

と言う。thwart the attack= 攻撃を阻止する・inflict grave injury
= 重大な傷害を与える

Stoneが問題にしているのは、「Lauraは危険を止めるために撃ったのか」それとも、「相手を傷つけること自体が目的になっていたのか」という違いだ。Lauraは5発発砲している。だから検察は単に「Lauraが怖かったか」だけではなく、その恐怖に対して取った行動がself-defenseとして認められるものだったのかを問題にしている。


今回の重要テーマ③

悪人なら撃たれても仕方がないのか

事件が進むと、Michael Jonesの本名がMichael “Mosquito” Mosketで、重大な犯罪歴があったことが判明する。ここから警察側の空気まで変わっていく。でも私は、この点は今回のshootingとは分けて考えるべきだと思う。Mosketが過去に犯罪をしていた。後になってrape allegationまで出てきた。それが事実なら、その犯罪について捜査して、証拠があるなら法律で裁けばいい。しかしLauraはMosketの過去を知らずに撃っている。だから、「後から調べたら悪人だった。だから撃たれても仕方がない」とはならない。この問題は後半でStone自身の判断にも影響してくる。そして、そこについては私はStoneより厳しい立場だ。


Scene Analysis ①

GreeveyとLogan――「法律では全員同じ」

事件直後、Detective Mike LoganはLauraに同情している。一方、Loganの上司Sergeant Max Greeveyは、Lauraが実際に二人を撃った以上、まず法律に従って捜査すべきだと考える。

Loganは言う。

“Why are we busting her chops?”

Bust someone’s chops=しつこく責める、厳しく当たる。ここなら、「なんで彼女をそこまで締め上げるんだ?」くらい。

さらに、

“We’re not talking about ‘Squeaky’ Fromme here.”

“Squeaky” Frommeは1975年にGerald Ford大統領へ銃を向けたことで知られる人物。Loganは、「Lauraはそんな危険人物じゃないだろ」と言いたい。

しかしGreeveyは、

“She did the shooting, that makes her the perp.”

と返す。perp=perpetratorの警察slang。犯人、犯罪行為をした人物。そしてGreeveyはこう言う。

“When it comes to the law, everybody’s the same. That’s when it works — when everybody’s the same.”

法律が機能するのは、相手によってルールを変えないときだ。そこでfootballの例を出す。

“It’s like football — you hold somebody, you get caught, it’s a penalty. Doesn’t matter whether you’re Billy Sims or some rookie for East Podunk State.”

Billy Simsは実在したスター選手。East Podunk State は架空の無名校を表すジョーク。スターだろうが無名選手だろうがholdingをすればpenalty。法律も同じだ、ということ。面白いのは、このあとMosketの正体を知ったGreevey自身がこの原則から揺れ始めることだ。


Scene Analysis ②

Lauraを何の罪で起訴するのか――Self-defenseとDodge City

捜査が進み、警察とDA’s officeがLauraをどのchargeで起訴するか話し合う。ここでは目撃証言の曖昧さと、self-defenseをどこまで認めるかが問題になる。

Stoneは言う。

“I got a subway full of eyewitnesses who claims they saw one of the victims accost Miss di Biasi — threaten her.”

Accost=人に近づいて詰め寄る、絡む。単なる approach より攻撃的なニュアンスがある。問題は、その目撃者たちの話が一致しないこと。

“With his hand on his crotch? With a screwdriver! Or with an ice-pick, or a pick axe. It’s funny what the eye can witness.”

screwdriverだった。ice pickだった。ついにはpick axeまで出てくる。目撃者がたくさんいても、同じものを見ているとは限らない。警察側はLauraに同情し、

“I know we’re going to prosecute, but do we have to hang her out to dry?”

と言う。hang someone out to dry=人を見捨てる、犠牲にする、厳しい状況に放置する。「起訴するのは分かる。でも、そこまでLauraを追い込む必要があるのか?」という意味だ。

Stoneは、

“Why, so every loophead can blast away when someone asks him for the time?”

と返す。loophead= 頭のおかしい奴、変な奴という古いslang。blast away
= 銃を撃ちまくる。すると警察側が、

“you guys in the DA’s office are a regular bunch of ‘Carnacs.’”

と言う。Carnac はJohnny Carsonが演じた超能力者風のキャラクター “Carnac the Magnificent”。「DAの連中は人の頭の中まで分かる超能力者なんですね」という皮肉だ。

ここからStoneは一つのhypotheticalを出す。

“Let us suppose, just for the sake of argument, that Miss di Biasi has had a really horrendous day, and someone jokingly says, ‘Stick ’em up.’ She kills them. It’s not self-defense, right?”

For the sake of argument=議論のために仮定してみる。Stick ’em up=強盗が使う「手を上げろ」。

Stoneのポイントは、本人が本当に怖かったことだけでself-defenseが成立するわけではないということ。本人のperceptionと、法律上reasonableなthreatだったかは別問題になる。そしてchargeを成立させられるのかと聞かれ、

“if you’re sure you can make it stick.”

という表現が出る。make it stick=chargeやaccusationを成立させる、きちんと通す。Stoneは答える。

“You’d better hope I can. She walks, New York is Dodge City.”

walk はここでは、裁判で無罪になる、あるいは処罰を免れるという意味。Dodge City はWild Westの「銃で問題を解決する街」の象徴。

つまり、「Lauraがこれで無罪なら、New Yorkは西部劇の街になる。」Stoneが恐れているのはLaura一人の結果ではない。「自分が怖いと思えば銃を使っていい」というruleを社会に作ることだ。続いてGreeveyが登場し、Michael Jonesが死亡するニュースを伝える。

“Skip the ‘legal beagling’ and go with plain vanilla murder two.”

legal beagling=legal beagleをもじった、細かい法律論・法律家同士の理屈。plain vanilla=普通の、基本的な、ひねりのない。Jonesが死亡したことで、事件はattempted murderではなくmurder caseへ変わっていく。


Scene Analysis ③

GreenとStone――Self-defenseは「冷静に考えてから」できるものなのか

Lauraの弁護を担当するPublic Defender、Shambala Greenと検察官Stoneが、self-defenseについて真っ向からぶつかる。Greenは自信満々で、

“If this were a Greek tragedy, I’d be guilty of hubris.”

と言う。hubris=過度な自信、傲慢。Greenには、

“Public sentiment on my side, witnesses on my side, precedent on self-defense…”

があるという。public sentiment は世論。precedent は法律上の判例・先例。さらに

“Now I am trying not to gloat, but what have you got on your side, Stone?”

と聞く。gloat=勝ち誇る。Stoneの返答がいい。

“Not very much, I agree. Only the New York penal law.”

「大したものはない。New Yorkの刑法くらいだ。」完全なsarcasmだ。ここから正当防衛におけるproportionalityの議論になる。Stoneは、

“The defendant must also act in a way that is thwarting the attack, not inflicting grave injury on the victim.”

と言う。Greenはrapeの危険を強調する。Stoneはthreatがあったことは認めても、それがattempted rapeに達していたかは、“a fine line”だと言う。

Greenはそのlineという言葉を使って、多くの女性が、“Is this really happening to me?”と考えている間に、そのlineを越えてしまうと反論する。

そしてStoneは最後に自分の考えをこう説明する。

“People break it, cops try to catch them, and I try to cook them. It’s my job. Sometimes I don’t like it, but it’s all we got.”

ここでの cook them は、検察官として犯罪者をprosecuteして有罪に持っていく、というかなりくだけた言い方。重要なのは、“Sometimes I don’t like it, but it’s all we got.”「気に入らないこともある。でも、これしかない。」法律が完璧だから従うのではない。個人が自分の判断でjusticeを執行するより、共通のruleとして法律を使うしかない。私はこの考え方にかなり近い。


Scene Analysis ④

Mosketの正体が判明――Greeveyの態度が変わる

StoneがGreeveyの法廷証言を事前に確認している場面。GreeveyはLauraについて、“She was scared half out of her wits by those… two perps.”と言ってしまう。scared out of one’s wits=我を忘れるほど怖がる。しかしStoneが即座に訂正する。“Victims, Max. Victims.”

Greeveyの頭の中では二人はLauraを襲った perps。しかし今回のshootingについてはLauraがaccusedで、撃たれた二人はvictims。Stoneはその立場を混同するなと言っている。その後、Michael Jonesの正体がMichael “Mosquito” Mosketで、重大な犯罪歴があったことが判明する。

Greeveyは、“They take one look at him, they figure the little bastard got just what he deserved.”と言う。しかしStoneは、“That’s how you figure it, Max?”と聞く。単に「陪審員がそう思う」と予想しているのではなく、Greevey本人も「こんな奴なら撃たれて当然」と思っているんじゃないのかと突いている。

さらにGreeveyは、“The law allowed Michael Mosket to walk free.”と言う。Stoneは皮肉で返す。“Until real justice was served down in the subway?”つまり、「法律がMosketを自由にした。だからLauraが地下鉄で撃ったことで“本当の正義”が実現した、とでも言うのか?」ということ。ここでもStoneは、Mosketが悪人だったかどうかと、Lauraが彼を撃つ権利があったかを分けて考えている。


Scene Analysis ⑤

検察はLauraのRevenge Theoryを証拠で裏付けようとする

検察はLauraのself-defense claimを崩すため、過去の暴行から今回のshootingまでにLauraが何を考えていたのかを調べる。“Our whole strategy is sandbagging the self-defense scenario.”。sandbag=ここでは相手のargumentを弱体化させる、潰す。

しかし検察は単なる推測では満足しない。“it would be nice, real nice, if we could have a concrete piece of evidence to support your revenge theory.”「Lauraはrevengeで撃ったに違いない」というstoryだけでは足りない。そのtheoryをsupportするevidenceが必要だ。

そこでLauraのbedroomから“Shoot to Kill”などの資料が見つかり、しかも事件よりかなり前から持っていたことが分かる。検察はここから、Lauraが以前の暴行後に武装し、次のconfrontationに備えていたというrevenge theoryを補強しようとする。


Scene Analysis ⑥

新しいrape allegation――Stone自身にreasonable doubtが生まれる

終盤、別の女性がMosketについて、“he’s the one that tried to rape me. That I’m sure of.”と証言する。さらにChenaultについても、“I’m pretty sure that the guy in the wheelchair, he held me down.”と言う。ここで検察官Stoneの考えが変わり始める。“Adam, I need to twist Darnell. I need your permission.”さらに、“There’s a woman right now with Stevenson swearing out a complaint about Chenault.”

Stoneは、“Maybe nothing, maybe everything.”と言う。そして、“But if those two are rape-happy, I want to know that before I go tearing into Laura di Biasi again.”tear into someone=人を激しく追及する。

上司のSchiffは、“If we change our tune now, we’re facing a public relations disaster.”と心配する。しかしStoneは、“But if I don’t listen to my reasonable doubt—”と言う。

通常、criminal trialでは被告人を有罪とするために beyond a reasonable doubt が要求される。ここではjuryではなく、prosecutorであるStone自身にreasonable doubtが生まれている。Stoneは、“with what I know now, the defendant’s perceptions may be accurate.”そして、“I can’t prosecute on that level.”・“I won’t do it.”と言う。

ここはStoneという検察官の誠実さが出ている場面だと思う。ただ、私はここではStoneほどLauraに寄れなかった。Mosketが実際にrapeをしていた。Chenaultも関与していた可能性がある。それは別の事件としてきちんと捜査して、証拠があるなら二人を裁けばいい。しかし、それによってLauraが地下鉄で行ったshootingそのものが消えるわけではない。

LauraはMosketの犯罪歴も、この女性へのrape allegationも知らずに撃っている。私から見ると今回の事件だけを切り取れば、少なくとも過剰なself-defenseによって人を死亡させた事件であり、これまでのLauraの行動を見るとrevengeの要素もかなり感じる。

だから私は、「後から調べたらvictimも悪人だったので、Lauraの責任を軽く考える」という方向にはあまり納得できない。殺人は殺人。Mosketがどんな人生を送ってきた人物だったとしても、それはLauraのshootingとは分けて考えるべきだと思う。この点については、それまでかなり共感していたStoneより、私はさらに厳しい立場だ。私ならLauraには刑務所に入るだけの責任があったと考える。


Phrase

“She walks, New York is Dodge City.”

今回、一つだけPhraseとして独立させるならこれを選びたい。

意味

「彼女がこれで無罪になるなら、New Yorkは西部劇の街になる。」

ニュアンス

walk は法廷・犯罪の文脈で、「無罪になる」「処罰されず自由になる」。

Dodge City はWild West的な、銃で問題を解決する街の象徴。



その他、今回拾っておきたい英語・文化

“every fruitcake on the BMT packing six on his hip”

“what, you want every fruitcake on the BMT packing six on his hip?”

かなりNew Yorkらしい古い表現。

fruitcake= 変人、頭のおかしい奴という古い侮辱表現
BMT= New York subwayの歴史的名称に由来する言い方
packing= 銃を携帯している
six= six-shooter / revolver

全体なら、「地下鉄に乗ってるイカれた奴全員が腰に銃をぶら下げるような街にしたいのか?」ということ。後の、“She walks, New York is Dodge City.”と同じ問題につながっている。


“priors up the ying-yang”

“Chenault’s got priors up the ying-yang.”

priors= 前科、過去の犯罪歴
up the ying-yang= 山ほど、腐るほど

つまり、「Chenaultは前科が山ほどある。」かなり口語的な言い方。


the Sullivan

“You want to arrest her on the Sullivan? A gun charge is pretty lame, don’t you think?”

the Sullivan はNew Yorkの歴史的な銃規制法、Sullivan Lawを指す。ここでは、「Lauraをmurderではなく、違法な銃所持で起訴するのか?」という意味で使われている。劇中でも続けて、“It’s still mandatory jail time.”と言われる。つまり単なる軽い違反ではない。

当時、自宅・勤務先以外でloaded firearmを無許可で所持する行為は、New Yorkでは旧Penal Law §265.02(4)のClass D violent felonyに該当し得た。当時の通常ルールでは少なくとも1年の収監を伴う可能性があり、一定のfirst offenderなどには例外もあった。劇中の、“A gun charge is pretty lame.”は「gun charge自体が軽い」というより、一人が死亡するshootingまで起きている事件に対して、gun chargeだけでは弱すぎるという感覚だ。


“peddle their life story to the highest bidder”

“They’d like to peddle their life story to the highest bidder.”

peddle one’s life story=自分の体験談を売る。
the highest bidder=最も高い金額を提示する相手。

Lauraの事件に便乗して、自分の体験談を一番高く買ってくれるmediaへ売ろうとしているのでは、というかなり冷めた表現。


“feeding frenzy”

“I don’t want the press going into a feeding frenzy.”

マスコミが一つの事件に一斉に群がり、報道が過熱すること。動物が餌に群がる feeding frenzy がそのまま比喩になっている。


“Babe to punks: Drop dead”

“Babe to punks: Drop dead”

tabloid風の見出しをからかった台詞。

babe = 魅力的な若い女性
punks = チンピラ
drop dead = 死ね、くたばれ

つまりmediaが複雑な事件を、「美女が悪いチンピラを成敗した」という単純なstoryに変えてしまうことへの皮肉。


“Maybe we should deputize her.”

“Maybe we should deputize her.”

deputize はdeputyとして公的権限を与えること。「そこまでLauraをcrime fighterとしてhero扱いするなら、いっそ警察官にでもしてやれば?」という皮肉。


Selma / Howard Beach

“Forget it, Adam, this isn’t Selma.”

“Neither was Howard Beach, and you know what happened there.”

Selma は1965年の公民権運動、Selma to Montgomery marchesとBloody Sundayを連想させる地名。Howard Beach は1986年にNew York CityのQueensで起きたracial attackを指す。この二つを並べることで、「racial violenceは1960年代の南部だけの話ではない。New Yorkでも起きる」というSchiffの反論になっている。そしてこの会話の核心は、

“Did she think these guys were a threat because they were street toughs… or because they were black?”

Lauraが二人を危険だと判断した理由にraceが影響していたのか、という問題だ。


FDR

“Sorry, there was an accident on the FDR.”

FDR = FDR Drive Manhattan東側を走る道路。New Yorkerなら the FDR だけで通じる。こういう固有名詞は英語自体は簡単なのに、背景を知らないと意味が取れない。


PD

“Shambala Green, I’m Miss di Biasi’s PD.”

PD = Public Defender=公選弁護人。private attorneyを雇う経済的余裕のない一定の被告人に対して、公的に提供されるdefense attorney。


arraigned

“we have to take you over to the women’s side until you’re arraigned.”

arraign / arraignment=刑事事件の初期段階で被告人を裁判官の前に出し、chargesなどを正式に扱う手続き。ここでは「toothbrushは持っているか」と聞かれるので、「これからすぐ家に帰れるわけではない」という現実まで伝わってくる。


私のTake

この回について、私は大部分では検察官Ben Stoneの考え方に賛成だった。特に、“self-defense does not allow for revenge”にはその通りだと思う。Lauraが以前受けた暴行はひどい。その怒りが一生消えないとしても不思議ではない。でも今回撃ったMosketとChenaultは、以前Lauraを襲った3人とは別人だ。だから過去の怒りを今回の二人に向けていい理由にはならない。さらに、Mosketが後から調べたらとんでもない犯罪歴を持っていた、ということも私にはあまり関係ない。Lauraはそれを知らずに撃ったからだ。

そして終盤、Mosketによる別の女性へのrape allegationが出てきたところでは、私はStoneより厳しい。Stoneは、“with what I know now, the defendant’s perceptions may be accurate.”と考え、自分のprosecutionにreasonable doubtを持つ。検察官として新しい証拠を無視しないという意味では、Stoneはかなり誠実だと思う。ある意味、優しい。

でも私自身は、「実は撃たれた人間も悪人でした」という後から分かった情報によって、Lauraの責任を軽く考える気にはならなかった。Mosketがrapeをしたのであれば、そのrapeを捜査してMosketを裁く。Chenaultが共犯ならChenaultも裁く。それとLauraが地下鉄でMosketを撃ち殺したことは別の事件だ。Lauraはそのrapeを知らなかった。Mosketの過去も知らなかった。その状態で5発撃ち、一人を死亡させた。私には過剰防衛による殺人に見えるし、Lauraのそれまでの行動を見ていると、revengeの要素もかなりあったように見える。だから私はLauraには刑務所に入るだけの責任があったと思う。

これは、「被害に遭った人は我慢しろ」という話ではない。被害に遭ったら声を上げる。警察に届ける。記録を残す。必要なら弁護士を使う。そして加害者を、自分ではなく法律に裁かせる方向へ持っていく。

もちろん現実には、法律が期待通りに動いてくれないこともある。証拠が足りないこともある。相手が処罰されないことだってある。それでも、「だったら次は自分で裁く」に行ってしまったら、Stoneが言うDodge Cityになる。

Stoneの、“Sometimes I don’t like it, but it’s all we got.”という言葉には、だから私はかなり共感する。法律が完璧だからではない。気に入らない結果が出ることもある。それでも個人が自分でjusticeを執行するより、共通のruleとして法律を使うしかない。


そして、自分の身を守る準備も必要

ただし、「法律に任せればいいから、自分では何もしなくていい」という話でもないと思う。NYCのような大都市で生活するのであれば、自分の身を守るためのセットやruleを普段から考えておくことも必要だ。これは女性でも男性でも同じ。危険な場所や時間帯を避ける。周囲を見る。地下鉄ならどこに座るかを考える。逃げられる場所を意識する。緊急時に誰へ連絡するか決めておく。自分が合法的に使える防犯手段を調べる。必要なら、そのために自分のお金を使う。どれだけ準備しても100%安全にはならない。理不尽に襲われることはある。それでも、自分のお金と時間でできる範囲の準備はしておいたほうがいいと私は思う。自分を守る準備をすることと、自分で相手を裁くことは別だ。今回のLauraを見ていて、私はそこを強く感じた。

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